2024.03.19
2022.11.17
内視鏡は工業用や医療用に使われますが、どちらも基本的な構造は同じで、レンズは内視鏡の内部と両端部で使われています。内視鏡の管は細く、一般的な球面形状のレンズではレンズを組み込む難易度が高くなりますが、円柱形状で組み込みが容易であり、かつ非常に細い径で高い光学性能を持つ当社のSELFOC®レンズが活躍している分野です。
内視鏡には工業用と医療用がありますが、医療用を例にした場合、内視鏡の種類には、口等から入れて、消化器官等を内側から調べるのに使われる軟性内視鏡と、外科手術をする際等に、体に小さな穴を開けて差し込んで、外部から様子を見るために用いられる硬性内視鏡があります。軟性内視鏡はいわゆる胃カメラと呼ばれるものです。軟性内視鏡は入り組んだ形状の内臓の中を進むため、名前の通り本体が柔らかく、折り曲げることができますが、硬性内視鏡は真っすぐな形状をしており、ステンレス管等で作られているため折り曲げることはできません。
軟性内視鏡の中にも更に分類があり、内視鏡先端に撮像素子を備えたビデオスコープタイプと、光ファイバーを使って内視鏡先端で取得した映像を手元まで伝達するファイバースコープタイプの2種類のものがあります。
観察する対象は異なりますが、工業用内視鏡も医療用内視鏡と同様に上記の種類に分けられます。
以上の内視鏡製品の中で、当社のSELFOC®レンズは、軟性内視鏡の対物レンズや硬性内視鏡の対物・リレーレンズに用いられています。
内視鏡において、医師がのぞく側のレンズを接眼レンズ、観察する患部側のレンズを対物レンズと呼びます。対物レンズの役割は患部とその周辺で反射した光を取り込み、小さい像に変換するものです。
硬性内視鏡では、対物レンズの他に、リレーレンズと呼ばれるレンズにも当社のSELFOC®レンズが使用されています。リレーレンズの役割は、対物レンズから入った観察物の像を、同じ大きさのまま接眼レンズまで送ることです。このレンズは、像を中継=リレーすることからリレーレンズと呼ばれます。
以上のように内視鏡にはいくつかのレンズが使われていますが、これらのレンズに求められることは、できる限り広い範囲の像を鮮明に明るく映し出すことです。また、医療用の場合は、対物レンズは体内に入れる部分であるため、高い生体適合性が要求されます。
そして大きさ、特に外径も重要です。人間の入り込めない場所の映像を見られるようにするのが内視鏡の役割なので、外径が細いことが望まれます。特に医療系では内視鏡を使った、患者への負担の小さい低侵襲手術が求められており、外径が細いことが患者への負担に直結するため、より細い内視鏡が求められています。
SELFOC®レンズは屈折率分布型レンズと呼ばれる円形状のレンズです。一般的に用いられる球面形状のレンズと異なり、材料自体が屈折率分布を持つことで、レンズの両端面が平面であっても、レンズとしての機能を有しています。これにより、球面レンズと異なり特別なレンズホルダーが不要で、組み付けが簡単で取扱いやすいというメリットがあります。また、最大70°程度の広い視野角や低収差という特長も併せ持っています。
内視鏡用レンズとして重要な要素である外径についてもSELFOC®レンズは最小φ0.2mmという非常に細いサイズの製品をラインアップしており、これにより極めて細い内視鏡を実現することが可能です。
内視鏡技術は日々進化しており、口から飲んで排出されるまで内臓の画像を記録するカプセル内視鏡や、ハイビジョンモニターを使った高解像度内視鏡、手術用ロボットを用いた手術や遠隔手術なども登場し、より小さく、より明るく、より高精細のレンズが必要とされています。こうしたニーズを満たす性能をSELFOC®レンズは備えています。